双極性障害ってどんな病気? その2
「躁」と「うつ」を繰り返す「脳の病気」です
双極性障害は気分の浮き沈みの度合いや、症状の現れ方によって、「性格的なもの」と思われがちな病気です。しかし、気のもちようや、心がけで治るものではなく、治療が必要な脳の病気なのです。
また、双極性障害には「躁状態」「うつ状態」「寛解期」の3つのエピソードがあり、それらを繰り返します。始まりの状態は人によってそれぞれですが、多くの場合、最初は「うつ病」と診断されて治療がスタートします。
双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、躁状態の程度によって、「躁」と「軽躁」に分けて、Ⅰ型とⅡ型の診断基準にしています。
今回は双極性障害の特徴について、お話していきたいと思います。
双極性障害の特徴
・「躁」と「うつ」がくり返し現れる
・症状のあらわれ方には個人差がある
・20代~30代で発症しやすい
・春~夏は躁、秋~冬はうつが多くなる
・ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れが病気発症や再発のきっかけになりやすい
・ほかの精神疾患を併発しやすい
以上挙げた以外にも、いくつかの特徴がありますが、今回は実際に私の症状の特徴にもなっているものを挙げさせていただきました。
では、今回は症状のあらわれ方について、詳しく見ていきたいと思います。当事者の方でしたら、分かり合える部分もあるかもしれませんし、周りに双極性障害をお持ちの方でも、ぜひ何かお気づきのことがあればコメントください。
症状のあらわれ方には個人差があります
躁のあらわれ方
精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)では7つの症状を挙げて基準にしています。
①自尊心の誇大:自分が偉いと思いあがる、あるいは誇大妄想。
②睡眠欲求の減少:1日3時間程度の睡眠でも平気でいる。
③多弁:普段よりおしゃべりになる。しゃべり続けなければいけない気になる。
④観念奔逸:思考が不安定。頭が急速に回って、いくつもの考えにとらわれる。
⑤注意散漫:ささいな、または関係のない外的刺激に気を取られる。
⑥活動の増加:社会的な場でも私生活でも活発に行動する。
⑦痛ましい結果:快楽行動に没頭してしまう。
ただし、同じ症状でも、Ⅰ型とⅡ型では、重い・軽いの違いがあります。
そして自覚することが難しいのが躁の特徴の一つです。病気の症状なのに、病気は治ったとさえ思うほどです。自覚が出てくるのは、躁状態を何度も経験してからのこと。双極性障害と診断されてからも、躁状態になった時には、病気が治ったと感じるため、薬を中断したり、通院を辞めたり、再発につながる大きな要因があります。
躁からうつに移行すると
躁状態の時にした浪費やけんかなど、上がった気持ちがおさまってくるとともに、深刻な結果に愕然とします。躁状態での行動を、後で責任を取らないといけないと思い詰めてしまうのです。また、躁状態がひどい場合には、症状を覚えていない人もいます。その期間の記憶だけぽっかりと抜けているため、自己不振や自己嫌悪に陥ることもあります。
また、周りは躁状態の時の言動を病気だと思うことはほとんどありません。以前から本人を良く知っていれば様子がおかしいと気づくかもしれませんが、「もともとそういう人だったのか」「本性が見えた」と思われてしまうことも少なくありません。
うつのあらわれ方
うつ状態の時には、大きな4つのカテゴリーで変化が見られます。
①中核となる精神状態:憂うつ感、興味・喜びの喪失
②思考面での症状:思考力の低下、自己否定、自殺念慮
③意欲面での症状:おっくう感、イライラ感
④身体面での症状:体重の増減、睡眠障害
うつ状態は躁状態より、はるかに長く続きます。うつ状態の苦しさは、その期間が長いことにもあります。病気の期間でみると、Ⅰ型の人は約3分の1を、Ⅱ型の人は約半分の期間をうつ状態で過ごしているというデータもあります。いずれにしても、双極性障害では多くの時間をうつ状態で過ごしていますから、主症状である「うつ」への理解も非常に大切です。
各症状については、また別記事で詳しくご説明できればと考えています。
本日もご覧いただきありがとうございます。