双極性障害ってどんな病気? その6
「躁」と「うつ」を繰り返す「脳の病気」です
双極性障害は気分の浮き沈みの度合いや、症状の現れ方によって、「性格的なもの」と思われがちな病気です。しかし、気のもちようや、心がけで治るものではなく、治療が必要な脳の病気なのです。
また、双極性障害には「躁状態」「うつ状態」「寛解期」の3つのエピソードがあり、それらを繰り返します。始まりの状態は人によってそれぞれですが、多くの場合、最初は「うつ病」と診断されて治療がスタートします。
双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、躁状態の程度によって、「躁」と「軽躁」に分けて、Ⅰ型とⅡ型の診断基準にしています。
今回は双極性障害の特徴について、お話していきたいと思います。
双極性障害の特徴
・「躁」と「うつ」がくり返し現れる
・症状のあらわれ方には個人差がある
・20代~30代で発症しやすい
・春~夏は躁、秋~冬はうつが多くなる
・ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れが病気発症や再発のきっかけになりやすい
・ほかの精神疾患を併発しやすい
以上挙げた以外にも、いくつかの特徴がありますが、今回は実際に私の症状の特徴にもなっているものを挙げさせていただきました。
では、今回はほかの精神疾患との関連について、詳しく見ていきたいと思います。当事者の方でしたら、分かり合える部分もあるかもしれませんし、周りに双極性障害をお持ちの方でも、ぜひ何かお気づきのことがあればコメントください。
双極性障害に合併しやすい心の病気
双極性障害は、ほかのさまざまな精神疾患との合併症が見られます。合併症があると症状が複雑になり。治療も難しくなるため、病気への理解と心構えが大事になってきます。
・アルコール依存症、薬物依存症
躁とうつ期が混ざり合う「混合状態」、「ラピッドサイクリング(急速交代型)」、薬が効きにくい治療抵抗性などと関連します。また、肝機能障害など体の病気を発症させたり、自殺のリスクを高めるなど、大きな影響があります。
・不安障害(パニック障害など)
耐えがたいほど大きな不安が心にも体にも激しい症状を起こし、生活に支障が出る病気の総称で、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、PTSDなどがあります。不安障害の病気と合併すると、治療への反応性が低下し、治療にかかる期間が長くなると報告されているため、併発の際は、しっかりと治療に専念しましょう。
・パーソナリティ障害
双極性障害の人の30%~40%がなんらかのパーソナリティ障害を合併しているといわれ、この場合、治療効果を安定させたり、維持することが難しくなり、治療が長期化します。しかし、境界性パーソナリティー障害は、双極性障害と症状が似通っているため、合併症かどうかの見極めは困難であるといわれています。
・摂食障害
特に過食症とは関連があると指摘されています。DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)による「むちゃ食い障害」の生涯有病率は、健常者では4.6%ですが、軽躁病では、12.8%、持続的な軽躁病では22.2%で、健常者の約3~5倍にも上ります。
病気を受け入れるということ
病気を受け入れられず、翻弄され続ける人がいます。早期から冷静に受け入れ、病気を理解しようとする人のほうが、その後の経過は良好なようです。もちろん、理解しようとすればするほど、この病気が簡単なものではないことが分かります。
しかし、ここが治療のスタートライン。今後の対策を立てて、実践していく動機になります。双極性障害は、適切な治療をしないと、場合によって、社会的にも大きな損失を被る、重大な病気です。大切なものはなにか、それをなくしたらどうなるのか、しっかりと考えて、治療と向き合うのが大切なのです。
心構えとして、
・体の病気と違いはないと思う
高血圧や糖尿病と同じで、薬や暮らし方でコントロールしていけば普通に暮らせる。
・自分にとってのストレスを知る
ストレスは原因ではなく、悪化要因。自分のストレス源を知り、対処法を持つ。
そして再発予防に努めることが、双極性障害を乗り越えるための大きな一歩だといえるのだと思います。
「双極性障害ってどんな病気?」は今回でラストです。
今後は自分に実際起きた症状や事例を中心に話していけたらと思います。
本日もありがとうございました。